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2007年 12月 19日
10月某日、MRSオーナーであるT氏よりマフラー交換の依頼があった。 T氏はこれまでにもマフラーを3本交換している。 1本目は入門品ともいえるタイプのものであろうHKSのリーガルマフラー。 これは排気音もうるさくなくて、ノーマルプラスのチューニングカーには最適だったのだが、いかんせん重量が重いし、リーガル特有の詰まったようなフィールがイマイチであった。 このあたりからT氏のサーキット走行が本格化したこともあり、2本目はアクセルレスポンスのよい、軽量なチタン製のものに変更した。 このチタンマフラーは驚くほど軽量で、ヌケも良かったのだが、こいつは排気音が大きすぎた。 それでもしばらくは我慢して使っていたが、さすがに世間の目が気になるようになったことと、吊り下げのステーが折れてしまったことで、サイレンサーの装着できるタイプのものへ換えることになった。 3本目も軽量なもので低速トルクも稼ぎたいという狙いから、柿本のハイパーフルメガN1を選んだ。 そういった経緯で、こいつを最近まで使っていたのだが、T氏は気に入っていたわけではなかったようだ。 気に入らない理由はいろいろあるようだが、中でも排気音の良し悪しは大きいウエイトを占めていたようだ。 このハイパーフルメガN1はサイレンサーを装着した状態なら車検OKというもので、サイレンサーを外すとかなり大きな音がする。 だから、街中ではサイレンサーを装着したまんまで乗り、サーキットに着いたらサイレンサーを外すという使い方をしていたのだが・・・。 このサイレンサーを付けた状態での排気音はお世辞にも良い音とは言えなかったし、外した状態でも、とても心地良いとは言えなかったのだ。 心地よく感じる排気音とは、極端に言えばそのクルマに乗っている人の数だけあるのだと思う。 まあ、音というのは好みが分かれるものであるから、良い音というのもあいまいではある。 あいまいではあるが大多数の人が支持してくれるであろうと思われる音はあるだろう。 だから、多くのマフラーメーカーも努力をして、良い音のマフラーを作ろうと模索している。 だが、車検に通る音量で、尚且つ万人受けするようなスポーティーな音を出すのは実は至難の業である。 なぜなら、基本的には排気音を消音するのがマフラーの役割であるからだ。 スポーツマフラーの製作は、エンジンから出ている音の成分を分析して、いらない音を消すところから始まる。 必要ない音を消すのは比較的簡単な作業なのだが、それを消したところでスポーティーな音になるとは限らない。 排気量やシリンダーの数、許容回転数など、そのエンジンの性格によって出てくる音はある程度決まってしまっているからだ。 いらない音を消したところで、残った音がスポーティーなサウンドであれば良いが、そうそう事は簡単にいかない。 そのマフラー音に足りない音を足せればいいのだが、それはさすがに簡単にはいかない。 なので、どうしても元々持っている音がベースとなってしまうのは否めない。 しかも、近接排気音は、乗用車103ホン、定常走行騒音は85ホン以下であることという規制もある。 そういう厳しい制約の中でスポーツマフラーは作られていくのだから、心地よい排気音を奏でるマフラーを選ぶということは、それはとても難しいことなのだ。 今回T氏が選んだのは某ショップの製作した高額なもの。 僕も初めて聞くショップが作り販売しているものだったが、 届いたマフラーはしっかりとした作りで、かなり綺麗な仕上げがされているものだった。 早速、装着作業を開始した。 だが・・・。 このマフラーはタイコ部分が大きいこともあり、装着するためにはフロントパイプ(2イン1パイプ)を外さないといけない。 フロントパイプを外すということは、リンクと共締めしている補強アームを外すしかない。 リンクと共締めしている補強アームを外すということは、すなわちアライメントが狂ってしまうということだ・・・。 弱った・・・。 しかし、考えている暇はない。 さっさと外すことにした。 フロントパイプを外したことで、ようやくマフラーは収まった。 嬉々として仮止めするネジを締め始めたのだが・・・。 ん? なんか変! あら? なんか妙な感じ・・・。 あーー、スタビに当たってるじゃん!! いや、ノーマルのスタビであれば逃げの部分に沿って問題はないはずなのだが、このクルマのスタビはピロボール方式のものに交換してある。 つまり、ノーマルとは形状が違うのだ。 困った・・・。 オーナーT氏に連絡をとって、対策を話合う。 僕の現在の装着状況を説明を聞いて、取り付けが難しいことを理解したT氏は、装着を断念し、このマフラーの転売を決意した。 T氏はこのマフラーの排気音を楽しみにしていただろうに・・・。 またもやFパイプを外し、マフラーを取り外す。 先ほど取り外したマフラーを装着してようやく元に戻った。 この外したマフラー、排気ガスが通ったわけではないが、一度箱から出して装着を試みたわけだから、損になるのは仕方ないと瞬時に判断し決断してくれたようだ。 いさぎよい話じゃないですか。 単品として開発してあるパーツを組み合わせる場合、往々にしてこういう事態に陥ることがある。 そのパーツの能力を最大限発揮させるように考えているためで、製作するときの基準はノーマルのままと考えるからだ。 僕も何度か同じような場面に遭遇したことがある。 それは自分のクルマの場合もあるし、依頼されたクルマの場合もあった。 自分の場合や、チューニングというものを理解しているお客さんであれば、何故そうなったのかを理解しているから問題はない。 だが、100人に1人くらいの割合ではあるが、理解していないお客さんの場合は困ったことになる(笑い)。 あくまで組み合わせでおきる問題であるから、こいつは仕方ないことなのに、なんとか店側というか相手に責任を取らせようと考えるようだ。 チューニングはそれ自体がクルマを主体とした遊びとはいえ、まあ、お金が絡んでくることであるから当たり前なのかもしれないが・・・。 この話を書いていて、いさぎの悪いお客さんのエピソードを思い出したんで、ちょっと書いてみる。 もう、かなり前の話ではあるが、某自動車会社の営業マンから新車のタイヤ&ホイールをインチアップしたいというお客さんを紹介された。 自分のところで用意しているオプションのインチアップホイールの中には、そのお客さんが気に入ったデザインがないからと言う理由だったと記憶している。 僕も初めてのクルマであったが、14インチの鉄チンホイールをアルミの15インチに換えるだけの話であったので快く引き受けた。 1インチアップするだけだし、鉄チンからアルミホイールに換えるだけなら、間違いなく性能がアップするチューニングだったから。 これが2インチアップくらいになると、デメリットも多くなってくるから、スタイルアップに主眼を置いたお客さんなら良いのだが、それ以外のチューニング初心者には勧めにくくなるのだ。 お客さんに来店していただき、気に入ったデザインのものを選んでもらった。 タイヤはノーマルと同じ銘柄のままで185/55R15にアップした。 納車後に無事装着してもらったのだが、数日後に紹介者の営業マンから電話が・・・。 「なんか、あのタイヤ&ホイールに換えてからハンドルが取られるようになったというんです。真っ直ぐ走っているのに、左に寄っていくようにもなったらしいです。」 営業マンを伴ってお客さんに来店していただき、ハンドリングを確かめるために試乗させてもらった。 んー、ハンドルを取られるというほどの問題はないようだが、強い轍がある道の場合は確かにとられる、かな? 直線を走ってみるが、おかしな感じはない。 よくよく話を聞いてみると、アクセルを放すと左に寄っていくらしい。 だが、これは道路をつくるときに排水性を考慮して、蒲鉾状につくってあるためで、ごく普通の事である。 道路の蒲鉾具合は様々だから、それが強いところもあれば、ほぼ均一な道路もある。 まあ、正直言ってインチアップしたのだから、タイヤの扁平率はあがってしまっている。 ノーマルは60扁平だが、インチアップしたタイヤは55扁平。 しかし、この55扁平タイヤはそのディーラーでも売っているタイヤであったし、特別ハイグリップというわけでもない。 だがまあ、タイヤの幅が若干広がっているため、路面の状態を忠実に伝えるようにはなってるわな。 お客さんに懇切丁寧な説明を試みる。 しかし、「お金を払って買い物をしたのにハンドルが取られるなんて許せない。左に寄っていって縁石に乗り上げたらどうする!」と言い張るだけ・・・。 トホホ・・・。 説明を諦めて、ノーマルのタイヤ&ホイールに戻し、もう一度走ってみる。 正直言ってあんまりかわらないと思った。 今度はお客さんに運転してもらい、僕は助手席に。 タイヤとホイールを元に戻したのに、やっぱり左に寄っていくと言う。 ついには「あのタイヤとホイールを履いてからおかしくなったんじゃないか?」と言い出す始末。 そんなこと或るわけないじゃん! こいつは困った。 ノーマルのタイヤ&ホイール違う方法を考えつき、足廻りの調整で対応。 このクルマの足廻りはコンベンショナルなFストラット・Rトーションビーム式コイルスプリングだから、いじれるのはFのトーインだけ。 測ってみると、若干アウト気味であったから、少しインにつければ直進性はあがるかも・・・。 でも、なんかこれ以上このクルマを触ったりして、このお客さんを刺激しないほうが良いだろうと考え直した。 同席している営業マンもワケが分かってないようだし・・・。 全く珍しいことだが、事の顛末を本社に報告し、商品を引き取ることにした。 (確か、18年間でその1件だけだと記憶している) 本社の見解では、その商品は自分が買い取るように、とのことだったが、そんな馬鹿な話はないと突っぱねた。 間違った商品を売ったわけではないし、たまたまおかしなお客さんに当たっただけなのだから・・・。 まっ、結局はすぐに安くして他のお客さんに売ったんだっけ。 過去にはこんなことがあったから、お客さんからのクレームにはとっても敏感になる。 だから、今回の件にしても相手がT氏でなかったらと思うとゾッとするのだ(笑い)。
by high-drive
| 2007-12-19 20:50
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