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2007年 09月 26日
もう1ヶ月半くらい前のことになる。 昔からのお客さんと言うか、僕の茶飲み友達でもあるMさんからメールが届いた。 曰く、先ほどエンジンがかからなかった。 なんとか始動出来たので、今のうちに診て欲しいとの依頼だった。 その日、僕はあいにく遠方に出かけており不在だったため、近くの知人の整備士を紹介し、そこへ行ってもらうように頼んだ。 その整備士からの連絡では、特に変わった様子もなく、ここに来てからは問題なくエンジンはかかるとの報告。 う~ん、そういうことって多いんだよなぁ・・・。 Mさんも症状が出ないことで、これは一時的なものなんだろうと納得して、その日は帰ったのだった。 翌々日にまたメールが入った。 やっぱり、エンジンのかかりが悪いとのこと。 何度かセルを回しているとかかるのはかかるが、もしも出先でなんかでかからないなどの故障があっては困るから、一度しっかり診て欲しいとのこと。 翌日にクルマを預かりに出向いた。 このクルマは平成7年式で走行24万キロを走っている。 エンジンはNA(ナチュラル・アスピレーション)だ。 このエンジン、とても快調で今までこのような不具合は無かった。 まあ、24万キロノントラブルというのも凄いことだ。 NAだから、必要以上のパワーがないことで、他の部分への負担も少ないだろうし、ターボに比べて熱の問題が少ないこともあるだろう。 このオーナーは、毎日かなりの距離を走るが乱暴な運転をしない。 この事も要因と言えるだろう。。 クルマは乗らないよりも、むしろ毎日乗っているほうが良いコンディションを保てるからだ。 引き取るためにエンジンをかけてみると、なるほど初爆までに時間がかかる。 だが、初爆までの時間はかかるが始動しないわけではない。 直感で「こいつはやっかいだぞ・・・」と感じた僕は「修理完了までの時間を長くみておいて欲しい」と告げ、クルマを引き取ることにした。 今までなんの問題も無かったのに、突然の問題発生にMさんもナーバスにならざるを得ない。 「気にいって乗ってるけど、もう寿命かなぁ・・・治らないなら、とんでもなく修理にお金がかかるなら、新しいのを買おうか・・・でも欲しいクルマは今は無いし・・・」 そんなことを相談されたが、それは調べてみないとわかないのである。 あんまりお金がかかるようなら、買い替えを考えたら?と提案したが、買い替えるほうが当然お金はかかる。 欲しいクルマがあるならともかく、治して使うほうが絶対に安いのは間違いないのだ。 翌日から原因追求に入ったのだが、予想に反してクランキング時間は短くエンジンはスムーズにかかる。 あれ?治った?などと考えていたが、治してないのだからそんなことはありえない。 暖まってからの様子もみようとアイドリングをさせ、エンジンを切り、再び始動する。 しかし、エンジンはスムーズにかかるのだった。 やっぱりやっかいな修理になりそうだ。 それからの一週間はそんなことの繰り返しをしていたが、いつも問題なくスムーズにエンジンはかかったのだった。 その間、クルマからの情報(不調)は得られなかったのだが、始動不良の原因については、僕もいろいろと調べていた。 日産ディーラーに勤める知人にこの症例についての意見を求めたり、パーツ屋にどんなセンサーがよく売れて(壊れて)いるか?を聞いてみたり・・・。 ディーラーのサービスマンが言うには、ミッションからエンジンへの配線を交換することが多い(アース不良)と聞き、改めてアースを引き直しした。 パーツ屋はどの種類のセンサーも良く出ていると言い、なんの参考にもならなかった。 仕方なく日産ディーラーにコンサルトで診断してもらうことにした。 診断結果は何も問題なし。 普通はこの作業1回で¥6.000-かかるが、今回は何もわからなかったことで無料となった。 原因がみえない。 まあ、初爆が悪いんだからとりあえず点検しなければいけないのは点火系だろうと考え、そこからチェックを開始した。 タイミングライトをあてて、点火時期を見る。 問題ない。 全部のプラグコードを点検してみる。 プラグコードから火花は飛んでいる。 ただ、プラグコードに触ると点火が若干不規則になるようだ。 プラグコードの端子が怪しい。 まっ、こいつも要交換だな。 プラグを外すとプラグはちびてしまっていた。 う~ん。こいつは要交換だ。 ついでにデスビのキャップ&ローターを外して内部を確認する。 錆も発生しており、おまけに本来は当たってはいけないところが当たってしまってる。 う~ん、状態はとても悪い。 このあたりが原因なのだろうか? よく言われている燃料フィルターの詰まりとかはどうだろう? 僕なんかは5万キロごとに交換していたし・・・。 整備手帳を見ると交換した記録はない。 燃圧を測定してみると、基準よりも下回っている。 こいつも怪しい・・・。 始動不良という本来の原因は不明のままであるが、このまま手をこまねいていてもラチがあかない。 とりあえずの途中経過と調べた結果、交換を要する部分をMさんに報告する。 「今のところはエンジンがかかりにくいだけで、かからないわけじゃない。そのまま乗っても良いから、駄目そうなところは治しておいて欲しい」との返事。 怪しいと思われるパーツを交換することにしたのだが、用心のためにトランク内部のバッテリーマイナスアースを外すことにした。 が、マイナス端子が緩んでる。 ほんとにユルユル・・・。 ん?なんで? おろ、プラス端子も緩んでる??? こっちもユルユル・・・。 交換時に閉め忘れたのだろうか? Mさんにバッテリー交換をしたのは何処で、何時頃なのかを聞くと、ディーラーで交換したのはもう1年以上前だと言う。 こんな状態で乗れていたなんて! よくよく観察してみると、端子までのハーネスがピンピンに張ってしまってる。 バッテリー自体のサイズが標準よりも縦に長いタイプのものに交換してあることが原因のようだ。 そのために端子までのハーネスの長さに余裕が全くないから、それをターミナルに嵌め込もうとすると、かなりきついことになる。 プラス側のハーネスはなんとかなってるが、マイナス側のハーネスは引っ張られている状態。 こいつは拙い。 思案した挙句、マイナスのハーネスのボディアース部の端子の留めネジ部の穴を削って、少しでも余裕をもたせることにした。 この端子の締め忘れが始動不良の原因かも? 淡い期待を抱き、端子をきちんと締めたのだった。 さて、エンジン始動だ。 しかし、淡い期待はもろくも崩れた。 クランキング時間は長く、全く変化していない。 ふうー。 さて、気を入れ直して作業再開である。 たかがプラグ&プラグコード交換なのだが、思っていたより面倒な作業だ。 と、作業のために外したエアクリーナーが目にとまった。 中身を確かめるとかなり汚れている。 こいつも交換しておこう。 プラグ・プラグコード・デスビキャップ&ローター・燃料フィルター・エアクリーナーを交換した。 で、エンジンをかけてみると・・・。 あら?何故かかかりが悪いし、おまけに咳き込むような感じ。 怪しいパーツを新品に交換したんだから、状態が良くなるならともかく、なんで調子悪くなるの? ひょっとして、違う部分がこのタイミングで壊れたのか? まあ、症状が出たのならコンサルトでわかるはず。 すぐに日産に持っていって、コンサルトにかけてもらうと、エアフロセンサーが悪いという診断結果が出た。 な~んだ、エアフロかよ。 エアフロは¥33.900-。 Mさんに連絡してエアフロ購入の許可をもらう。 少しでも安くしてあげようと思い、ディーラーではエアフロの交換をせず、クルマを持ち帰ってエアフロを交換するが、あらら、全然良くなってない。 どういうことだろう? エアフロ購入に払った¥33.900-はどうしてくれる(怒)。 コンサルトで診断してくれたディーラーに相談するが、「エアフロが悪かったのは間違いないですから、もしあのままウチに預けたとしても、同じようにエアフロを交換します」と言う。 またまた途方に暮れたが、症状が現れているうちにもう一度日産でコンサルトにかけてもらうことにした。 今度は点火信号が怪しいという診断結果になった。 「これから判断すると、デスビ本体がおかしいようです」 今度はデスビかよ! 新品のデスビ本体は金額が張るから、中古を探して交換することにした。 3日後に中古のデスビを手に入れ、さっそく交換する。 すると、確かにクランキング時間は短くなったようだが、まだ本来の感じではない。 う~ん、ここまでやったのに、なんだろう?まだ治ったという感じではない。 こうなるとちょっとお手上げである。 困ったあげくに個人的に親しい日産のサービスマンに電話してみる。 「そんなに困っているなら、ちょっと遠いけど、ここまで持っておいで。お金は要らないから・・・。」 確かに遠い。 ここから60キロの彼方である。 親しいサービスマンではあったが、最初に相談しなかったのはこの距離があったからなのだ。 しかし、溺れるものはなんとやら、である。 意を決してそこまで持っていくことにした。 アイドリングも不安定だし、万が一エンジンが途中でストップしたら怖いが、僕の時間的な問題もあり、高速道路でそのディーラーに向かった。 しかし、高速に乗るまでにも、エンジンがこの状態なので、なるべく渋滞を避けたいと思い、インターまでは裏道を走った。 その裏道で恐ろしい目にあった。 裏道のアップダウンが凄かったのもあるが、完全に抜けてしまった足廻りなので、それは恐ろしいほどロールして、おまけにその揺り返しがくるのだ。 そう、12~13万キロ前に交換した足廻りは既に終わってしまってるのだ。 左右のロールの揺れ返しも怖いが、それに前後のピッチングが間断なくやってくるというおまけ付き(笑い)。 それまでもスピードはひかえていたのだが、そこからさらに思いっきりスピードをダウンして走る。 後ろから軽トラに煽られ、仕方なく道を譲る。 そうやってインターにようやく着き、ようやく遠方のディーラーに持ち込んだ。 今までの症状と交換したパーツを告げ、外したパーツも持ち込み、一通り事情を話した。 すぐにいろんなところを点検してくれたが、おかしなところは見つからなかったので、クルマを預けて一旦松山に帰った。 とおもったら、自宅に着くや否やすぐに電話が入った。 「2番の新品プラグがおかしいみたい。あれって不良品じゃないの?」 ええーっ! そんな馬鹿な・・・。 何かの本で昔のプラグは1000本に一本くらいの不良があったとは聞いたことがあるが、今はもう21世紀、そんなはずは無いだろう、だって純正品だし、NGKだぜ。 しかし、2番と3番のプラグを交換すると、やっぱり3番がおかしくなるという。 パーツ屋に電話して、この次第を報告したが、パーツ屋も半信半疑。 とりあえず「交換します」とだけ言われた。 にわかには信じられないが、とりあえずは交換用のプラグを持ってクルマを引き取りに赴く。 現場にて確認すると、確かにプラグがおかしいようだ。 プラグを交換すると、不調だったエンジンが治ったようだ(嬉)。 確認のためにデスビを元に戻すと、やっぱりアイドリングが乱れる。 エアフロも元に戻す。 もっと調子悪くなった。 もう一度デスビとエアフロを新しいものに交換する。 エンジンの調子は良くなった。 ってこと、エアフロとデスビが悪かったのは間違いないようだが、でもこれは僕の大チョンボだ。 まさか、新品のプラグが最初から不良だったなんて疑いもしなかったよ。 自分の甘さに気分が落ち込むが「こういうのは最近では珍しいことだから」と慰められる。 まあ、そうだろうけどな・・・。 あの人のことだから、お金は受け取らないだろうとの判断で、途中で買ったお礼の缶ビールを無理矢理渡して帰ることに。 新品プラグの不良に振り回されはしたが、結局はエアフロ&デスビの両方が悪かったようだとMさんに連絡し、翌日引き渡すことにして帰路に着いた。 しかし、その道中、エンジンに異変が発生。 加速中に息継ぎのような症状が出る。 あら?治ってないじゃない(泣)。 帰ってから再度プラグをチェックし、点火時期を調整する。 やはり問題はない。 困った・・・。 明日の引渡しは断念することにして、Mさんに再度連絡する。 「実は・・・・・。」 Mさんも修理期間が伸び伸びになることに、少し呆れているようだった。 僕が密かに怖れていたのは「もう治さなくてもいい!」と大きな声で叫ばれてキレられてしまうこと(笑)。 今までの20年間の間にも、何度かお客さんにヘソを曲げてしまわれて、そう言われた経験がある。 その気持ちは分かるが、こちらも出来る努力はしているし、自分の不甲斐なさにも腹は立ってるから、売り言葉に買い言葉になってしまいがちだ。 治そうと頑張ってる気持ちがキレそうになる。 それが怖かった。 しかし、次にMさんから出た言葉は「治らないなら、しばらくそのまま乗ってもいいですよ」という返答。 しかし、今はエンジンがかかりにくいことに加えて、息継ぎの症状まで出ているのだ。 預かったときよりも状態は悪くなってるのだから、正直普段乗りも難しい。 渡せるわけがない。 エンジンの状態を詳細に伝え「もう少し頑張らせて欲しい」とお願いする。 すると「じゃあ、迷惑をかけますけど、もうしばらくよろしくお願いします」との予想外の返答。 Mさんも言いたいことがあるだろうに、そこを我慢して僕に託してくれた。 「ありがたい。なんとしても不調の原因を突き止めねば!」 考えた末に、もう一度近場の日産に持って行って、コンサルトにかけてみることにした。 これだけ症状が顕著になったのなら、コンサルトでわかるんじゃないか?と思ったのだ。 日産のサービスに経緯を説明し、またまたコンサルトにかける。 今回は水温センサーの数値に問題を発見したようだ。 うおっ、今度は水温センサーかよ・・・。 さみだれ式に不調な箇所が判明することに、半ば呆れながらMさんに連絡する。 水温センサー自体は安いこともあり、すぐに了解をくれたので、すぐに部品の発注をした。 翌日、配達された水温センサーを交換する。 ん? 治った・・のか・・・。 残念ながら状態は少し良くなったくらいで、根本的な解決にはならなかったようだ。 しばらくアイドリングさせていると、急にアイドリング回転数が1500rpmにハネ上がった。 うわっ!今度は何? もう一度日産に持っていき、コンサルトにかけるが、問題点は何も出ず。。。 ここで日産のサービスから提案があった。 「いちいち持ってくるのも大変でしょうから、しばらく預ってしっかりと診てみましょうか?」 この申し出に心が動いた。 クルマを預けることにした。 翌日、さっそく日産から連絡が入った。 また新たな不良部分が見つかったとのこと。 「ACCバルブが悪いようです。これを交換してみないと先に進めませんね。」 ACCバルブは3万ちょいだと言う。 中古もないから、新品を注文するしかない。 まごまごしているのは飽きた。 すぐに了解して、交換してもらうことにした。 それから1週間、日産からは何の連絡も入らなかった。 部品が無いのだろうか? 僕もこの修理で何度も煮え湯を飲まされていたから、せっつくようなことはしないでおこうと考え、辛抱強く待っていたのだが・・・。 でも、やっぱりしびれをきらして連絡を入れる。 「まだ、わからりませんか?」 「いや、ACCバルブを注文して良いかどうかの連絡を待っていたんですけど・・・。」 ぬうぁに! それはOKってことで話をしたじゃない。 まさか、この1週間ずっと何もしないままだったのか? 「ええ、お客さんからの連絡待ちと聞いておりましたんで・・・。」 マジかよ(怒)。 まあ、こちらも散々調べさせるだけ調べさせて、原因らしきことがわかったら、工賃節約のために持ち帰って修理していたのだ。 その流れだと錯覚しても仕方はないだろう。 怒っていても仕方ない。 「すぐに注文を入れて、作業を再開して下さい」と伝えて電話を叩ききった。 2日後に日産から連絡が入った。 ACCバルブを交換してから、アイドリング回転数は元に戻ったとのこと。 おまけにクランキングも短くなり、エンジン始動までの時間が短くなった。 すべてはACCバルブだったのだろうか? それならば他の作業は全て無駄だったことになる。 簡単に交換出来るものを元に戻してみることにした。 デスビは点火時期などの調整が面倒なので交換は止めにして、エアフロ・水温センサーと戻していくと明らかに調子は悪くなった。 やっぱりここが悪いと言うよりも全部が悪かったようだ。 24万キロを迎えて、各部のセンサーが一気に問題を噴出したのだろうか? 預かる前よりも、むしろ預かってからのさみだれ式の不調連発にとても疑問が残るのだが・・・。 ともあれ、そこから丸一日エンジンをかけたり、水温が安定するまでアイドリングさせてみたが、おかしな症状は発生しなかった。 Mさんに連絡を入れる。 ここまでの経過を話し、明日引き渡すことを告げた。 「そこまで手を入れたんなら、しばらくは壊れないだろうから、もう一度車検を受けて乗ることにしよう。他に欲しいクルマもないし・・・。」 そう言って電話が切れた。 ・・・ってことはあと3年くらい乗るのだろうか? うーん・・・。 それならいっそ全てのセンサーを換えておけば良かった。 僕はいつも自分ならどうするか?を考えてお客さんにいろんなことを提案している。 自分なら迷わず全交換するだろう。 事実、以前に乗っていたクルマのセンサーは、中古で買った瞬間に全交換してた。 Mさんのクルマも交換してないセンサーはあと2箇所だけなのだ。 ここまでリフレッシュしてしまうと、残る全てのセンサーも新調したいのはやまやまだが、そこまでやってしまうとあと数万円の出費となる。 症状が治まったのなら、ここで止めるべきだろう。 壊れそうだから交換と考えるのは、親切とはいえない。 それが修理を請け負った者が下す、的確な判断だと思うのだ。 まあしかし、これだけの時間をかけて、その修理代金はほとんどが純正部品の買い付けのためのお金である。 修理というのは、割りに合わない仕事なのである。
by high-drive
| 2007-09-26 00:45
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